オニは外!福は内!福豆の豊富な栄養でココロもカラダも歯ッピーに
「おにはぁーそとー、ふくはぁーうちー!」と大きな声で、家の中に豆をまいて、食べ物を思いっきり投げ散らかしてよい唯一の日、節分がやってきます。それ以外の日に、大きな声を出しながら、食べ物を投げ散らかしてよい日など、日本には存在しません。おうちや家族の中にある邪気を払い、福を家の中に呼び寄せるこの大切な年に一度のイベントを大切にしましょう。そして、この一大イベントに無くてはならないアイテムは、なんといっても豆!恵方巻ではありません。豆です。鬼が来たら、恵方巻をのんびりとまいている間に、あっという間にやられてしまいます。
私たちを鬼から物理的に守ってくれる武器であり、私たちの歯を内側から守ってくれる栄養源こそ豆なのです。今日は節分にちなんで、お豆の代表、大豆と歯の健康にフォーカスを当てます!
歯の健康にとって大切な栄養素は、カルシウム、たんぱく質、マグネシウム、ビタミンです!歯に大切なそれぞれの栄養素は、以下の役割があります。
では今日の主役である大豆に含まれる、歯やお口周りを応援する要素を紹介します。
カルシウム
歯の大部分はやはり、カルシウムが占めています。そのため、カルシウムが歯に与える役割はとても大きいものです。そのうちの2つの役割を紹介します。
①乳歯と永久歯を育てる
体の中で歯の元が作られる時期は、胎児の頃から幼児の頃のごくわずかな間です。実は、歯の元(歯胚)ができるのは妊娠6週目~10週頃と言われています。さらに妊娠14週目~16週目頃には永久歯の卵も形成されるそうです。乳歯は1~2年、永久歯は5年くらいの歳月をかけて、長く噛み続けられる歯を作っているそうです。
歯が歯茎の下に埋まっていて、少しずつ形成している段階に、カルシウムを十分摂取することで、しっかりとした強い歯を作ることができます。カルシウムは不足しやすい栄養素なので、永久歯の準備をしている幼児までの時期に、不足しないようにしっかりと摂取しましょう。
②エナメル質の再石灰化を促す
私たちは、食事をしたり甘い飲み物を飲んだりすると、お口の中が酸性に傾き、少しずつ歯の表面のエナメル質が溶け出します。エナメル質が薄くなったり、溶けてしまうと歯の防御力が弱くなり、凍みたり、虫歯になりやすくなってしまいます。約30~40分くらいかけて、唾液の力で中和していき、溶けたリンやカルシウムが少しずつ修復されます。これが再石灰化と呼ばれる働きです。この時に重要なのが、カルシウム。「再石灰化」を促すために、カルシウムの摂取がとても重要なのです。
カルシウムやリン(カルシウムの吸収率が高める)が不足していると、再石灰化がスムーズに進まず、虫歯のリスクを高めることになってしまいます。
簡単に言うと、カルシウムは歯の防御力を高める働きがあるということです。
たんぱく質
私たちの体は、水分と脂質を除くとほとんどがたんぱく質で作られていることをご存じでしょうか。大豆には、良質なたんぱく質が多く含まれています。大豆は畑の肉ともいわれており、豊富なたんぱく質含有量はお肉に匹敵します。豊富に含まれているたんぱく質は筋肉や臓器を作るのと同様に、お口の中の歯や歯茎にとってとても重要な栄養素です。お口の中でいうと、歯の内側のほとんどを形成している象牙質、そして歯の土台となる歯茎を形成してくれます。健康な体と共に、健康なお口の中を作るために欠かせない栄養素です。
最近は、高齢者の心と体が弱ってしまう状態であるフレイル(虚弱)予防にも摂取が推奨される栄養素としてもたんぱく質が紹介されています。
https://www.mhlw.go.jp/content/000625526.pdf
厚生労働省令和元年度食事摂取基準を活用した高齢者のフレイル予防事業 7p~10p
筋肉と体の組織を作るたんぱく質と、その代表選手ともいえる大豆。もしかして、鬼をやっつけるのは、大豆なのではなく、大豆のたんぱく質パワーなのかもしれません!!
マグネシウム
マグネシウムはあまり聞きなれない栄養素かもしれませんが、歯の土台となる歯槽骨を形成するのに、とても大切なものです。前述したように、体内に取り込んだカルシウムを効果的に吸収できるよう助けてくれる働きがあります。カルシウム単品で摂取しても、なかなか体内に取り込むのが難しいですが、大豆のようにカルシウムとマグネシウムが同時に含まれている食物を摂取することでカルシウムの吸収率を上げることができます。
ビタミン
実は、大豆には良質なエナメル質・象牙質の形成を助けるビタミンA,B,Dは、ほとんど含まれておらず歯を支援する大豆としては、唯一の弱点となっています。
ビタミンB群やビタミンE群が豊富に含まれており、抗酸化力が強いものなので、ビタミンという意味で歯の力にはなれなくても、体内の抵抗力と同様に、お口の中の抵抗力・免疫力を支える働きには効果があります。
食物繊維
大豆には、食物繊維の代表野菜、ごぼうやホウレンソウよりも多くの食物繊維が含まれています。繊維質のある食品は、噛むことにより食べ物と歯がこすれあった時に歯についた汚れを落とす手伝いをしてくれます。大豆は、食物繊維が豊富なため、直接食べることで歯を機能的に掃除してくれる食品なのです。そのため咀嚼することで歯の表面をきれいにしてくれる、「直接清掃食品」とも呼ばれることがあります。
それに対応して、梅干しなど唾液の分泌を促して、唾液量をふやしてお口の中をきれいに中和してくれる食品を「間接清掃性食品」とも呼ぶそうです。
さらには、大豆に多く含まれる食物繊維には歯を強くする効果もあります。
その他にも、食物繊維は便秘対策の効果が良く知られており、消化や吸収を助ける大きな働きがあります。そのため糖尿病や高血圧などに悪影響を及ぼす脂質や糖の吸収を穏やかにしてくれたり、悪いものを進んで体の外へ排出してくれます。
歯にとって大事な栄養素は6つと言われています。カルシウム、たんぱく質、マグネシウムとビタミンA,C,Dです。そのうちの3つの栄養素を保持しているのが大豆。黄な粉やお味噌、醤油などの加工食品としても私たちの食卓になくてはならない存在です。お味噌汁として摂取してもよいし、納豆や煮豆、炒り豆としても食べることができます。大豆持つ栄養パワーも注目されていて、どんどん加工食品が出ており話題にも事欠きません。私たちの健康だけでなく、歯にも良い影響がたくさんあることを、ぜひ覚えておいてください。
この節分の季節、大豆の持つ歯にも体にもよい栄養パワーを存分に味わって、寒さに打ち勝つ強い体を身につけましょう。今年の節分はぜひ「鬼は外、福は内、歯には大豆―!」と叫びながら大豆を投げて、おうちの邪気を追い払ってみてください。その後、大豆を味わうことをお忘れなく!
今年も健康で元気に過ごせる1年となりますように。もちろん「歯に邪気がやってきた!(違和感がある!)」時は、遠慮なくプラザ若葉歯科へご相談ください。皆さんとご家族に「鬼は外、福は内」な健口ライフが訪れますように願っています。