マウスピースはスポーツ選手の必需品!? 噛み合わせとの深~い関係
先日、ボクシングで井上尚弥さんの世界バンダム級統一戦が行われました。わずか2ラウンドで相手をK.O.させるという、劇的な速さで勝利が決まり井上選手の強さを見せつけられました。ボクシングだけではなく、格闘技やアメフト・ラグビーなど、衝突や打撃が激しいスポーツでは、歯を守るためにマウスピース(マウスガード・マウスシールド)をつけます。また、最近では、球技や器械体操、スケートなどコントロールやバランスが重要なスポーツでもマウスピースを着用している選手も多いそうです。
今日は、マウスピースがスポーツに与える効果・有効性などについてお話しします。
歯やお口の中・舌の保護
歯は上下のかみ合わせに対して、一定程度の圧力に耐えられる強度がありますが、正面や側面からの衝撃に対しては意外と弱いです。ちょっとした衝撃で歯が欠けたりすることもあります。マウスピースには、歯が直接打撃を受けないように守る効果があります。マウスピースは、上下で1つずつのピースになるので、一点で受けた衝撃を上あご・下あご全体の衝撃として緩和することができます。歯が折れないことはもちろん、折れた歯によってお口の中や舌を傷つけないように守るという意味もあります。
分かりやすくいうと、荷物を郵送するときの梱包材の役割です。
特に、パンチやタックルなどがある格闘技などのスポーツでは必須な防具となりますね。ボクシングやアメリカンフットボールでは装着が義務化されています。
食いしばりの圧力からの保護
読売ジャイアンツにいた王貞治さんは、現役選手だったころ、バットを振るたびに歯を食いしばっていたため、歯がすり減りボロボロになったといいます。食いしばりは、より大きな力を発揮したり、瞬発力を高めたりする効果があります。しかし、その頻度が多かったり、力が強すぎると、歯の表面をボロボロにしたり、歯の根っこに亀裂を入れたり、顎の関節を痛めたりという負傷につながってしまうのです。
マウスピースは、食いしばりによる歯へのダメージを軽減してくれる防具となります。歯は、上下方向の力に強いと言いましたが、限度はあります。マウスピースは、自身の力で歯をすり減らしたり、顎の関節を痛めたりしないように、食いしばりの圧力を分散させ歯を保護することのできる大切なパーツとなるのです。
余談ですが、歯の食いしばりは、身を守ることにもつながります。食いしばることで首を支える頸部も力が入り、首や頭が固定されるため、体の安全につながり、怪我や脳しんとうからの予防にも効果があるとも言われています。
平衡感覚の向上
皆さんは、食べ物を食べるときに左右の歯をバランスよく使えていますか?左右のかみ合わせは日々、変化しています。体の左右のバランスが良く、姿勢がまっすぐだと腰や肩への負担が減ることは皆さんご存じだと思います。
上下の歯のかみ合わせは、体のバランス感覚にも大きく影響します。歯の形にあったマウスピースをすることで左右の食いしばる力のバランスを向上させることができます。歯の中心がずれている方、食べ物を噛むときに左右どちらか一方で噛んでしまう癖のある方などは、マウスピースを使って、正しいかみ合わせに徐々に戻していくという方法もあります。
また、正しいかみ合わせによって、平衡感覚・バランス感覚の向上ができるので、球技での投球コントロールや、器械体操などバランスが大切なスポーツでは、左右のかみ合わせバランスに注視しているところもあるようです。
★マウスピースが義務化されているスポーツ
以下のスポーツではマウスピース(マウスガード)の着用が義務化されています。義務化されているスポーツがあるということは、マウスピースによる歯やお口の中を守ることが絶対必要だということですね。
今日は、マウスピースや歯を食いしばることによるいろいろな効果についてお話ししました。食いしばることで力が発揮できることや、食いしばることで体の関節が固定され安全性が高まることが知られています。
かみ合わせのバランスが良くなることで、スポーツ時により良い結果をだせるようになれたら、最高にうれしいですね。井上尚弥さんのように、ボクシングで世界王者になることはできなくても、色々な種目で自己ベストが出せるように、応援しています。
かみ合わせに不安がある方やスポーツ時のマウスピースに興味のある方は、ぜひ当院へご相談下さい。
関連ページ
https://sakado-tsurugashima-shika.com/blog/post_339.html